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●III号戦車H型 III号戦車H型は、G型までの防御力の改善、砲塔の設計変更、機動力の改善など、多くの改良を図った型で、車体、砲塔共にかなりの変更が加えられている。 しかし、実際は間に合わせにとどまったものもあり、III号戦車として完成された姿となるのは、次のJ型に譲っている。 生産は1940年10月から始まり、1941年8月までに308両が完成している。 H型の改修点であるが、防御力改善といっても、急に設計は変えられない。 このため、主要部に増加装甲が取り付けられることになり、車体前面と後面に、30mm厚の装甲板がボルト止めで追加された。 ボルト止めの追加装甲は、一枚板の装甲板より強度は劣るが、とりあえず仕方が無かった。 なお、車体戦闘室部前面の追加装甲板は、機関銃マウントと操縦手用視察用装甲バイザーの部分が切り欠かれている。 この増加装甲板の取り付けについては、後にG型以前の車体にも適用されて、改修が施されている。 砲塔については、元々5cm砲が搭載できる砲塔であったものの、スペースを広げることと、生産性の向上のため、後部のキューポラ張り出し部が廃止され、砲塔後面板の膨らみが変更されて、一枚の板で構成されるようになった。 これに伴って、砲塔側面板と上面板もそれに合わせて、端部分のラインが変更されている。 また砲塔後面には、雑具箱が取り付けられるようになった。 この雑具箱は、G型以前の車両にも取り付けられるようになったが、その場合、砲塔後面のラインが異なるため、取り付け具が延長されている。 砲塔内部機構としては、ようやく砲塔バスケットが採用されるようになった。 それまでは、砲塔リング部に座席が取り付けられていただけだったものが、どんな姿勢でも、砲塔の旋回を気にせず作業が可能となり、これで、砲塔内作業効率が大きく向上している。 足回りに関しては、増加装甲などのため重量は21.8tに増加しており、機動力低下を防ぐため、履帯が40cm幅のものに変更されている。 当初、起動輪はこれに合わせて、スペーサーを入れて使用されたが、すぐに新型のものに変更されている。 新型起動輪は、より生産性の高い鋳造製で、外側が、前型の円盤に8個の肉抜き穴の開いたものから、6本の幅の広いスポーク状の形状に変わっている。 誘導輪も、初期はG型までと同じものであったが、後に、スポーク状の新型に変更された。 また、起動輪への負担を減らすため、上部支持輪の最前のものが、少し前進して取り付けられるようになった。 そして、第1転輪前と第6転輪前のショック・アブソーバーも、金属カバー付きとなっている。 内部機構的にも複雑で、評判の悪かったトランスミッションは、新型のZF SSG77(前進6段/後進1段)に変更されている。 その他、細かい所では、車体後部のスモーク・ディスチャージャーに、装甲カバーが取り付けられるようになった。 |
<III号戦車H型> 全長: 5.41m 全幅: 2.95m 全高: 2.44m 全備重量: 21.8t 乗員: 5名 エンジン: マイバッハHL120TRM 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン 最大出力: 300hp/3,000rpm 最大速度: 40km/h 航続距離: 165km 武装: 42口径5cm戦車砲KwK38×1 (99発) 7.92mm機関銃MG34×2 (2,700発) 装甲厚: 10〜60mm |