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●III号戦車N型 1942年6月、ヒトラーは、24口径7.5cm戦車砲の生産を中止すべきだというシュペーア軍需相の提案に同意した。 一方で、残った450門の24口径7.5cm砲の処置が考えられた。 ここで、主力戦車としては限界に達していたIII号戦車を改修して搭載すれば、支援戦車として使えるのではないかというアイデアが生まれた。 こうして、1942年6月から8月にかけて、J型車体3両、L型車体447両を流用して、5cm砲に代わって24口径7.5cm砲が搭載された。 これがIII号戦車N型で、III号戦車の最終生産型である。 1942年11月、部隊試用の結果が報告されたが、非常に好評であり、それを受けて、M型車体も使って、24口径7.5cm砲搭載型のIII号戦車を生産することとされた。 こうして、1943年8月までにM型をベースとして、III号戦車N型がさらに213両生産された。 さらに1944年にかけて、前線から引き上げられた車体も改修され、37両がN型仕様に変更されている。 N型は、24口径7.5cm砲を搭載した以外の特徴は、ベースとなったIII号戦車車体に準じる特徴を持っていた。 ただし一般的に、防盾のスペースド・アーマーは未装備だったようである。 また、後期の一部の車両は、装甲厚が100mmとなり、ハッチが1枚開きとなった新型キューポラを装備していたようである。 なお弾薬搭載数は、L型ベースの車体で56発、M型ベースの車体で64発であった。 |
●部隊配備 1942年から1943年にかけての時期、III号戦車は性能的に完全に峠を越えたが、数量的には、まだドイツ軍の主力であった。 しかし、さすがにツィタデレ攻勢の頃になると、III号戦車は支援戦車の役割を担うようになる。 1942年末から登場した、7.5cm砲を装備したN型はその象徴であった。 特にN型は、ティーガー重戦車大隊に支援戦車として配属されている。 その後も残されたIII号戦車は、東部戦線、イタリア、ノルマンディーと使用は続けられるが、もはや主役ではなかった。 しかし、非力で弱体な老骨に鞭打ちながら、その戦いはドイツ最後の日まで続いたのである。 1945年2月1日時点のIII号戦車の登録数は、534両であった。 |
<III号戦車N型> 全長: 5.52m(L型ベース)/5.65m(M型ベース) 全幅: 2.95m 全高: 2.50m 全備重量: 23.0t 乗員: 5名 エンジン: マイバッハHL120TRM 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン 最大出力: 300hp/3,000rpm 最大速度: 40km/h 航続距離: 155km 武装: 24口径7.5cm戦車砲KwK37×1 (56発(L型ベース))/(64発(M型ベース)) 7.92mm機関銃MG34×2 (2,700発) 装甲厚: 10〜57mm |