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IV号戦車F1型

●IV号戦車F1型


IV号戦車F型は、E型に続いて生産されたもので、基本装甲厚を増して、車体が完全に新設計となっている。
F型は元々は、車体を新設計にしただけで、武装はこれまでと同じ24口径の短砲身7.5cm戦車砲であったが、途中から、主砲を43口径の長砲身7.5cm戦車砲に変更したものが生産されるようになった。

これは、独ソ戦の開始によって会敵したT-34中戦車やKV-1重戦車に対抗するため、武装の強化が必要となったためで、元々のF型が1941年4月から1942年3月までに462両、長砲身型が1942年3月から7月までに175両生産され、さらに、短砲身型から25両が改造されている。
なお長砲身型は、短砲身型と区別してF2型と呼ばれており、これに合わせて長砲身型の生産開始後、短砲身型はF1型と呼ばれるようになった。

特殊車両番号も、F1型がこれまでどおりのSd.Kfz.161なのに対して、F2型はSd.Kfz.161/1に変更されている。
本来のF型であるF1型の特徴であるが、まず車体前面装甲板は、生産性の向上のため、再び段の無い一直線のものへと変更された。
また、前面および側面の装甲板そのものも、初めから一枚板の50mmおよび30mm装甲板が使用されるようになり、増加装甲板は取り止められた。

増加装甲板付きのE型と比較して、前面および側面の装甲厚は、30mm+30mmの60mmから50mm、20mm+20mmの40mmから30mmへと、それぞれ薄くなったように思われるが、2枚重ねより1枚の方が耐弾性では有利なため、防御力は向上している。
なお、装甲が厚くなったことに伴い、戦闘室前面の機関銃マウントと操縦手用装甲バイザーは、新型の50型球形銃架と50型操縦手用クラッペに変更されている。

また、車体前部のブレーキ点検ハッチに、装甲カバー付きの冷却空気取り入れ口が設けられるようになった。
砲塔については、砲塔前面および防盾の装甲厚も50mmに強化されている。
また、砲塔側面のハッチが左右開きの2枚に変わったが、これに合わせて、ハッチの雨樋やストッパーの形状も変化している。

細かい所では、後部のピストルポートが新型の防御力の大きいものになり、前面装甲厚増厚によって、前面左右下端が周囲に取り付けられていた跳弾板と干渉するようになったため、ごくわずかに切り欠かれるようになった。
機関室では、ハッチ上のルーバーの形状が若干変化している。

また、後部のマフラーが、左右の長さが短いものになり、主エンジン用マフラーの上に重なって取り付けられていた補助エンジン用のマフラーが、円筒形のものから箱型のものに変わり、主マフラーと独立して、左側隣に取り付けられるようになった。
足周りについては、誘導輪が鋼管を溶接した新型に変更されている。


●部隊配備


1941年の独ソ開戦時の、IV号戦車の全登録数は517両で、III号戦車が約1,500両保有されていたことを考えると、やはりこの時点では、IV号戦車は支援戦車であったことが分かる。
バルバロッサ作戦開始時には、17個機甲師団がソ連国境に集結していたが、IV号戦車は全ての師団に配備されていた。

各師団の配備数は、20両から32両と幅がある。
全配備数は439両である。
なお、この時点では、IV号戦車のうち一番古く脆弱なA型は前線装備から外されていた。


<IV号戦車F1型>


全長:    5.92m
全幅:    2.84m
全高:    2.68m
全備重量: 22.3t
乗員:    5名
エンジン:  マイバッハHL120TRM 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン
最大出力: 300hp/3,000rpm
最大速度: 42km/h
航続距離: 200km
武装:    24口径7.5cm戦車砲KwK37×1 (80発)
        7.92mm機関銃MG34×2 (2,700発)
装甲厚:   10〜50mm























































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